【講座開催日】 平成30年5月13・20・27日

5月13日・20日・27日(各日曜日)研修室4。講師に歴史研究家:専門・日本中世史、江東区地域振興部文化観光課・文化財専門員、法政大学研究員 大関直人氏を迎えて行われた。応募者53名(抽選で41名)受講者36名 延人数95名。男性15名・女性21名。 

                              

第1回目 中世の絵巻物について~絵巻物とは何か、中世に多く作成された理由~
初めに史料とは、史学研究となる材料を総称して史料という。史料には、一等史料から五等史料などあり、等外史料は参考資料となる。そして、平安時代後期から鎌倉時代にかけて、四代絵巻と称される『源氏物語絵巻』『伴大納言絵詞』『信貴山縁起』『鳥獣人物戯画』が作成され絵巻物の全盛期といわれた。近年、絵画史料として、「絵巻物」が注目されている。「絵巻物」には「絵」と「詞書」があることに特徴があり「絵」という視覚的(ビジュアル)資料から、文字記録ではイメージできない厠(トイレ)が描かれているなど、その他、貴族の服装・武家の家屋・病や信仰など当時の世相の様子が伺える。私達の持っている「絵巻物」のイメージがもっと深い意味があることが分かった。

第2回目 『平家物話』『平家物語絵巻』の背景~平氏政権から治承・寿永の内乱期~
『平家物語』は平家一門の興隆と滅亡が描かれ、語り本系の諸本、読むために書き写された諸本とに分けられる。そして、パワーポイント使用で平家納経・祇王・鹿谷・入道死去・倶利伽羅落、木曽最期、敦盛最期、那須与一,壇ノ浦の合戦、先帝身投げなど、背景としての治承・寿永の乱が語られた。多くの関連資料が提示され平家一門の政治権力に対して地方の武士団が反平氏勢力となり、内乱の全国化となった。源平の対立、そして、壇の浦での平家滅亡となった。講義は多岐にわたり、史料としての後鳥羽天皇の摂政・関白であった九条兼実の「玉葉」、藤原定家の「明月記」などが紹介された。

                          

第3回目 『平家物語絵巻』について~中世諸史料との対比から見る「虚構と史実」~
平安時代後期の武将木曽義仲は、平安末期、源平争乱の最中征夷大将軍に任じられたが、関東軍との戦いに敗れた。実際、九条兼実の「玉葉」には伝聞として載せている。『絵巻』には義仲の戦いは法住寺合戦として描かれている。絵巻にあらわされている事象については、時空を超えてストーリーとしては有益であるが、そのように、史実と虚構とは絵巻のなかの「坂落とし」一の谷などのように、現在どこの場所か特定されていないものもある。史料として、「絵巻物」は分かり易いが現代の感覚で見ないこと。平安時代や江戸時代などその時代の人間として見ると史(資)料が活きてくる

                          

講義は講師の研究・資料は豊富で、3回ともに史料・資料を駆使して、読み解き様々な中世の絵巻物や時代背景を語る学識と熱意に基づいた内容の濃い講義であった。アンケートにも多くの方から講師への賛辞と今後も継続してほしいという声が寄せられた。・                                           (今野君江)



   

あだち区民大学塾講座 講座開催報告

絵巻物を読み解く 『平家物語絵巻』

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