【講座開催日】平成30年平成30年7月1・8・15日(各日曜日)

7月1・8・15日 午後2時~4時に研修室4で開催された。応募者63名。抽選により40名に受講券が発行された。出席者は第1回34名、第2回29名、第3回30名、延べ93名、受講者数は34名であった。講師は「戦国時代」の分野で毎年のように講師を務めて頂いている、足立区在住の歴史研究家・博士(文学)・江戸ぶら会会長の跡部蛮氏。

第1回は「民衆」の暮らしと「戦国バブル経済」の実態~戦国時代の民衆の暮らしと経済~と題して、戦国時代に収穫された米が、どのように分配されたかが説明された。1反の収量が1石5斗として、領主は3斗8升・地侍が9斗・農民は「生かさず殺さず」程度であった。領主よりも土地持ちの地侍の方が様々の名目で取り分が2倍以上に多かった。太閤検地ではこの権利関係が整理され、一地一作人として、地侍は廃止され、米は農民から領主に納められ、領主から家臣に支給された。その他、土地の面積表示や収穫高の単位を統一し、面積を正確に測定して石高を定め、田は上中下の等級付けが行われた。

                               

第2回は戦国大名と家臣たちの意外な「懐事情」~戦国大名の収支決算~と題して、小田原の北条氏を例にして、戦国大名と家臣団の組織・戦国大名と家臣の軍役に関する経済的な負担の状況が説明された。戦国大名は田畑にかけた段銭の収入では足らずに、家臣への貸付や礼銭などの収入で賄っていた。戦時の非常食の兵粮丸(松皮餅)の作り方や紙具足(軽量・経費節減)等が紹介された。

         

第3回は戦国時代の「トリビア」と題して、戦国時代の貧しさゆえの悲劇的なエピソードが紹介された。戦に負けた国の女子供は島原から海外へ3トスタンという安さで売り飛ばされた。赤ん坊を育てられずに見殺しにした母親の様子や、村人が防衛のために武装したり、野武士化するケースや、民衆がサイドビジネスとして紺染めを始めるなどが紹介された。

          

受講者からは ①戦国武将や信長・秀吉だけでは戦国時代の実情は良く明かされているとはいえないのではないか。②言葉だけで知っていた事の意味を改めて良く知ることができ興味深かった。時代小説を読むとき想像が広がりそうです。③戦国時代の経済面の話はとても面白く興味がありました。などの意見が寄せられた。今回は武将も英雄も出てこない講義であったが、歴史を経済面から解き明かす試みは、受講者にも新鮮な視点を提供できたものと思われる。                                  (糸井史郎)



        

あだち区民大学塾講座 講座開催報告

歴史ドラマが教えてくれない 新「戦国時代」講座                                  ~裏を知ったらもっと面白くなる~

好評のうちに終了しました

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