【講座開催日】平成30年11月11日・12月2日・9日・16日

11月11日・12月2日・9日・16日(各日曜日)の4回講座、応募者37名、受講者34名、延べ111名の講座でした。講師は文化庁 文化財第一課 歴史資料部門 文化財調査官の高梨 真行氏をお迎えし開催されました。講座は毎回、前半の1時間程度、それぞれの講座内容の基礎知識を解説いただき、後半は実際の古文書を紹介するかたちで進められました。
                           

1回目の起請文とは、神仏に対しての契約行為を差出す文書のことであり、起請文の構成、起源、起請文と信仰、起請文に使用された料紙など解説された。実物として、「乃美宗勝起請文」「毛利元就・小早川隆景・毛利輝元起請文」「佐竹義重血判起請文」を読み解かれました。

2回目の制礼・高礼とは、為政者の命令や法を人々に通達するために掲示した禁令(官報)や法規など箇条書にした木札、平安時代後期に誕生した。現存する大部分が禁止事項を列記した禁制(きんぜい)であり、制礼と呼ばれた。禁制は紙の文書で制礼は堅い木材を板状に加工し、墨書したものを柱に取り付け掲示された。実物として「丹後守護代内藤宗勝制礼」「織田信長制礼」「京極髙知制礼」「増田長盛制礼」が紹介された。

3回目は過所・過書について、平安時代の過所は関所通行のための許可証であり、中世になり関所通過のために必要な文書へと変化した。過所旗は海上、河川など舟運による移動時には、過所の文言を旗にして掲示した。有名なのが「瀬戸内水軍・能島村上氏(村上水軍)の過所船旗」です。勢力圏内を通航する船舶に対し、通行料を徴収し、村上氏の家紋の「上一文字」を掲げ通航させていた。「六波羅探題過所謄写」「足利高氏過所」「北条得宗家過所」「日明貿易旗」が紹介された。

                           

4回目の板石塔婆(板碑)は、死者の追善供養、生前の逆修供養のために、在地の僧侶が中心となり造立し、俗人と僧侶の名が刻まれることが多い。特に関東に多く、秩父青石で作ったものを青石塔婆という。中世人の信仰、古文書としての板碑、板碑の構造、板碑に刻まれている内容について解説があり、「川口市・実相寺 文明三年銘庚申侍板碑」「さいたま市・福正寺 阿弥陀三尊図像板碑」「吉見町・文永二年阿弥陀図像板被碑」「熊谷市・肥塚氏供養阿弥陀一尊種子板碑が紹介された。

レジメの写真では読みにくいので、現物を見て欲しいとのお勧めがありました。
以上、毎回、豊富な資料をご準備いただき、いつもながら素晴らしい講座となりました。                                                                                                                                               
               (篠原英也) 


        

平成30年度受託講座  講座開催報告

中世古文書講座 ~起請文、制札、貿易旗、板碑~

好評のうちに終了しました

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