【講座開催日】平成31年2月22日・3月8日・15日

荒川土手に沿って4.4キロにも及ぶ桜並木。足立区が世界に誇る「荒川の五色桜」は、かって明治から昭和初期に掛けて、八重桜など様々な品種の桜が植えられて、ピンク「関山」、白「白妙」、黄色「鬱金」、紫「柴桜」、黒「薄墨」などの淡彩色や濃紅色などに彩られ「五色の霞がたなびくように見えることから「一望彩雲」・「荒川堤の五色桜」と呼ばれていました。また荒川堤に華やかに咲き誇る都内でも有数の桜の名所として多くの方々がお花見を愉しみました。しかしその後、工場よりの煙害、病害虫、荒川放水路工事、戦争等で「五色桜」も例外なく伐採され衰退してしまいました。

                           

往時の五色桜の復活をと念願する多くの方々の熱心な働きかけにより、今、荒川の土手に甦った「足立の五色桜」の歴史を2人の講師が並々ならぬ愛着と研究の成果として発揮されご講演頂きました。
また、私達も共に貴重な学ぶ機会を得て足立について知識がまた一つ 増えたと実感致しました。

                            

  ■江北村と荒川堤の五色桜 ~五色桜3人衆~
1回目は、レーガン桜の植栽にも関わるなど、五色桜誕生に大きく貢献した里桜研究の第一人者の樋口恵一氏より、その五色桜の収集、植栽、維持管理に貢献された江北の先祖、駒込「梅芳園」の主人、高木孫右衛門さん、江北村の村長、清水謙吾さん、植栽後の維持管理に尽力された船津静作さんたちの桜への情熱や功績を交えて紹介頂きました。また、舩津家の家宝として3代にわたり引き継がれてきた桜の写生画「江北桜譜」(足立区郷土博物館保管)など、貴重な資料についても紹介されました。

                          

  ■五色桜が日米友好の絆に ~桜の寄贈と日米友好100年~
2回目は、江北村の歴史を伝える会代表 浅香孝子氏より、明治時代に当時の東京市長尾崎行雄氏が日米友好の証として桜苗をアメリカのワシントンD.Cに贈り、ポトマック河畔のポトマック公園に植栽され、その後、ポトマック河畔の桜は世界的な桜の名所となった。その後、寄贈された五色桜が時を超えて、戦後の衰退した足立区の五色桜の復活「桜の里帰り」に繋がったエピソードや“五色桜親善大使”として日米交流100周年記念でワシントンD.C.を訪問した時の様子など、日米友好100年の歴史を辿り熱く語って頂きました。

                       

  ■あだちの五色桜を誇りに ~荒川の桜並木の復活~
3回目、足立区みどりと公園推進室係長の松倉栄次氏より、かつて都内有数の桜の名所だった足立区の「荒川の五色桜」を復活させるべく、「桜づつみ整備計画」が平成20年に公表され、平成22年度から27年度まで、寄付金を募り桜の植樹を行う事業「ふるさと桜(平成五色桜)オーナー制度」で、荒川左岸土手上約4.4km(鹿浜橋から西新井橋)AからI地区までの区間に、32品種458本の桜を植樹しました。この桜並木が区内外の方に末長く愛されるようにと、平成28年度に荒川桜並木の愛称名を募集し、「あだち五色桜の散歩みち」に決まりましたとの案内が有りました。

 

区内のあちこちで桜が開花するシーズンを前に足立の桜の歴史について興味とその知識を知って頂けたと思います。この講座を通して、区民のみならず多くの方たちに「五色桜はあだちの宝物」との、愛着を持って愛でて頂ける様に強く望みます。                        (金子勝治)


        

平成30年度大学塾講座  開催報告

荒川土手に甦った「足立の五色桜」の歴史を学ぶ

好評のうちに終了しました

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