【講座開催日】平成31年 3月7日・14日・21日   

3月7日、14日、21日の3日間、元NHKアナウンサーの岡部晃彦氏を講師に行われ、応募者55名、受講者48名、 延受講者130名でした。

1回目は「正しく美しい日本語って何だろう?」~放送の現場で迷う言葉あれこれ~についてでした。時代と共に言葉は変動していくが、今は言葉の大変動期にあり、インターネット、SNSなどによる大量伝達のスピードが速く、一気に拡散して流行する、言葉本来の意味や読み方が変わるなど、言葉が簡単に変わる情報化時代である。その変化には①語法の変化②語彙の変化③意味の変化④音韻(アクセントや読み方など)など、具体的な言葉の例を沢山あげて時代の流れと共に言葉は変化していくことを語られました。

                            

2回目は「『やまとことば』をもっと見直そう」~古代から今も連なる日本語の深さと危うさ~と題し、日本語の進化と流れについてでした。①上代(奈良と奈良以前)日本に独自の文字はなく話しことば(和語)が主であった。②古代(平安時代)京都を中心に発達した口語、貴族社会のことばで平仮名、片仮名の誕生、古典文法として日本語が確立された。③中世(鎌倉・室町時代)武士階級の台頭に伴い関東ことば、キリシタンの影響による外来語やローマ字が入り始めた。④近代(江戸時代)現代に通じることばの始まりであり、識字層の広がり、町人ことば、男女ことばの違いができる。また、カタカナ語が登場し始めた。⑤現代(明治時代以降)教育の普及により文字が全国民のものになり、標準語の設定、外来語、造語など新文化受入れが進んだ。一方で伝統的な言葉が衰退し、近年はマスメディアの発達により高速度で全国的な均一化が図られている。
「やまとことば」は日本だけで生まれ、育ち、日本人の精神文化そのものである。この「やまとことば」を異文化導入の中で受け継がなくていいのかと問題提起されました。

                           

3回目は「身近な日本語、何でそう言うの?」~考えたこともない普段の言葉の由来を考える~でした。人間系の言葉、自然系の言葉、抽象的な言葉など、人間の生活と密接に結びつき脈々と受け継がれてきた言葉や、変化した言葉の語源や由来も含めてたくさんの例を披露して頂きました。


                           

受講者からは、楽しくわかりやすいお話で聞き取りやすく心地よかった。普段何も考えずに使っている言葉の意味を知り、深くて面白かった。「やまとことば」をもっと大事にして日常的に使っていきたいなど、スライドの文字数が多くスクリーンの文字が読みにくいなど、今後の課題もあったがとても好評でした。
現役アナウンサーの指導・教育、視聴者等からの問い合わせや苦情対応など、現場に携わっておられる講師ならではの盛りだくさんの講義内容でした。語彙や例文を出しながらの分かり易い説明は聞いていて面白く、ことばのチェックをテスト形式で書き込む時間や、受講者の発表もあり、2時間の講義は短く感じられました。
近年、日本語の乱れが顕著になっていることを憂い、美しい日本語を残したいという講師の日本語への熱い思いを感じた講座でした。                                           (林 令子)



        

平成30年度大学塾講座  開催報告

元NHKアナが語る 深くて面白い“日本語”の話

好評のうちに終了しました

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