【講座開催日】令和2年9月13・20・27日

9月13・20・27日(毎回日曜日午後2時~4時)研修室1において、コロナ対策を行って開催された。応募者は38名、受講者31名、延べ83名であった。講師は元農林水産省課長職で足立区在住の柴田寛氏。

                          

第1回は「新型コロナウィルスの感染拡大の影響を考える」として、コロナ感染症の発生から世界への感染拡大の状況を振り返った。その世界経済への影響として、世界銀行やIMFは本年のGDPは5%の大幅な減少が予想され、回復するのは2024年になるという。また、日本経済への影響としては、①訪日外国人の減少は99.9%で、5兆円の需要蒸発が起きている。②雇用は完全失業率が上昇し、有効求人倍率は低下している。③企業倒産は顕著な増加は見られないが、今後の動向を注視する必要がある。④家計への影響は教養・娯楽・交際費が減少し、品目では旅行関連の減少率が高い。一方、家具家事用品の増加が見られている。外食は減少し、内食が増加している。


              

第2回は「米中対立の背景と日本への影響を考える」。米中対立の原因は中国の経済成長であり、鄧小平の改革開放(1978)と南巡講話(1992)・WTO加盟(2001)が契機となっている。今後も①高等教育の普及②米国への留学生の増加③先端技術の特許出願件数等から高度成長は継続するとみられる。米国は中国に対し政治的にも経済的にも不満を持っており、特に米国の貿易赤字の半分は中国であり、中国で必要な商品が米国では生産されていない状況である。日本の貿易相手国の1位と2位は米国と中国である。日本は政治的には米国寄りで、経済的には中国寄りであるが、中国は習近平主席の国賓訪問など政治的にも日本へ接近しつつある。

          

第3回は「アベノミクスの8年間を振り返る」。バブル崩壊後の日本経済は、GDPの長期低迷とデフレの時代に突入し、デフレからの脱却の為アベノミクスが進められ、「三本の矢」といわれる①大胆な金融政策②機動的な財政政策③民間投資の喚起が行われた。その結果①為替相場は80円台から120円台へ円安に②株価は1万円から2万3千円に上昇③有効求人倍率は上昇し、完全失業率は減少④インバウンドは月間70万人が250万人に増加した。一方で、①企業の内部留保が300兆円から460兆円に増加したが、賃金は伸び悩み②GDP・国際競争力・労働生産性は低下③人口減少が止まらない④財政再建が進まないなどの問題点も指摘されている。コロナ禍により財政再建はほとんど顧みられなくなった。

受講者のご意見
・資料が充実していて講師の話がわかり易かった。中国の留学生や特許件数で成長が成程と思った。
・政治経済について表やグラフでの説明で大変勉強になりました。アベノミクスの8年間の分析が興味深かった。
・柴田先生の講義にとても満足しています。
・政治経済は複雑でとっつきにくかったのですが、少し勉強してみようと思いました。
等ご満足いただけたものと思われる。                         (糸井史郎)



   

あだち区民大学塾講座 講座開催報告

「日本経済入門2020 新型肺炎,米中対立を考える」

講座開催報告

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