【講座開催日】2022年5月・22日・29日

5月15日・22日・29日の日曜日に開催されました。講師は高梨真行氏(宮内庁三の丸尚蔵館主任研究官・足立区在住)応募者は24名、第1回21名、第2回20名、第3回21名で延べ62名でした。
今回の古文書講座は、廷臣である貴族たちの文書:三蹟から小野道風、藤原行成の文書と天皇直筆の文書:宸翰を読み、その時代の実像を読み解きます。

                          

第1回・・・平安朝の政治と天皇・上皇の文書 ~勅・院庁下文
 ・平安朝の政治は律令体制で建前は「天皇」を頂点とするが、文書行政であり、実際の政治は大臣・納言が集  団で主導した。
 ・天皇・上皇の文書には、公式(くしき)様文書と下文(くだしぶみ)様文書があり、それぞれの文書につい  て説明された。公式様文書は天皇の意向を文書化したもので「詔」と「勅」があり、大和言葉でどちらも   「みことのり」と呼ぶ。下文様文書としては、弁官下文と院庁下文がある。
 ・古文書として小野道風筆の「円珍関係文書」の勅書と「八条院庁下文」が紹介された。

第2回・・・中世の禁裏と天皇・上皇の文書 ~綸旨・院宣
 ・鎌倉時代以降の禁裏・院御所とは東国政権の影響下にない場所も残り、朝廷の幕府の併存状態というのが現  実的なあり方であった。
 ・書札様文書は手紙形式の文書のこと。私信であり、月日のみで年を記載しないため公文書の機能はなく、公  文書の補完目的で出されていた。
 ・綸旨(りんじ)は天皇の言葉、綸言(りんげん)を記したもの
 ・院宣(いんぜん)は院(上皇・法皇)意向を、院近臣が承って発給する文書
 ・古文書として伏見天皇綸旨と後柏原天皇綸旨(土佐家文書のうち)が紹介された。 

              

第3回・・・公家文書の中の天皇宸翰
 ・宸翰(しんかん)とは天皇自身の筆跡を指すことば。日本書道史上で数多くの宸翰のうち、伏見天皇や後醍  醐天皇など鎌倉時代後期から南北朝時代の宸翰以降を特に「宸翰様」と称している。
 ・宸翰の種類は、天皇自筆の書状、同写経、仏典、聖教、同和歌懐紙、和歌色紙、和歌短冊、同詩懐紙、詩色  紙、詩短冊、同一大字、一行書、二行書
 ・原則署名しない、料紙は高級なものを使用、引合紙、檀紙(厚めの楮紙)で色は白色のもの
 ・古文書として花園天皇宸翰書状と花園天皇宸翰書状(国宝 三朝宸翰 のうち)が紹介された。

          

≪受講者のご意見≫
・いつも大変興味深く聴講させて頂いています。時代背景の説明は面白いです。今後も多くの古文書を分かり易く講義して頂けると嬉しいです。
・学術的内容なのでなかなか受講機会が少ないので、ありがたい講座です。
・時代背景とか様々な知識が必要な講座なので、ついていくのが大変でした。予習が大切だと思いました。
・古文書は初めてでしたが翻刻の説明がありわかりやすかった。
                                        <篠原英也>



   

あだち区民大学塾講座 講座開催報告

中世古文書講座  ~朝廷文書と天皇の宸翰~

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