【講座開催日】2022年7月5日・12日・19日

 7月5・12・19日の火曜日に開催されました。講師は原山建郎氏(日本文藝家協会会員・武蔵野大学仏教文化研究所客員研究員)、応募者29名、参加者26名で延べ75名でした。
 今回の講座では、遠く卑弥呼の時代から21世紀まで、上古代日本の〈やまとことば〉を今に伝える「ひらがなの魅力」を古典や宮沢賢治などの詩を通して楽しみながらさぐりました。

                           

第1回 〈ひらがな〉の成立とオノマトペ
・漢字が4~5世紀に伝わるまで日本は文字を持たず、口承言語(話しことば)の文化だった。
・漢字の伝来により、話しことばは、表音文字である漢字の音韻と語意を借りて作った万葉仮名で『万葉集』を編み、漢字の崩し字による江戸仮名の時を経て、現在のひらがなになった(明治33年)。
・〈ひらがな〉は、丸くて、柔らかくて、優しい。万葉仮名の流れを汲むひらがなは、上古代のやまとことばを現代に伝える「からだことば」であり、日本人の身体(遺伝子)に刻み込まれている。
・子どもは胎内で聞く母語〈ひらがな〉のリズムで育つ。「からだことば」として最初に出会うオノマトペ(ことばの卵)が、親と子の心をつなぐのである。
・オノマトペ(擬音語・擬態語)は、一つひとつの音と響きに、硬さや柔らかさ、明るさや静けさの響きがあり、それは言霊や音霊と呼ばれている。

                                 

第2回 まるい〈ひらがな〉、四角い〈漢字〉、とんがった〈カタカナ〉、フィーリング
・〈漢語〉は、四角く堅苦しい感じを与えるが、その文章を読んだり聞いたりした瞬間に漢字の意味が理解できるので、伝えることが最優先事項の時はよい。
・〈カタカナ語〉には、硬・軟二つの側面がある。一つは、英単語のカタカナ表記であり、英語の得意な人には歓迎される。もう一つは、外来語の言い換えである和製英語(デジタルとアナログ、コミュニケーション、イメージなど)で、直訳の日本語よりわかりやすい。
・四角い漢字の会話を〈ひらがな〉で丸くする。〈ひらがな〉は、伝える思いが相手の心に「やわらかく、あたたかく」届く。

           

第3回 〈あはれ・をかし・たのし・おもしろし〉の世界
・〈あはれ〉は強い感動を示すときの感動詞・名詞。深いしみじみとした感動・情趣をいう。後に日本文学の根幹として発展し、調和美・優雅美・静寂美・悲哀美などの内容を持つようになった。
・〈をかし〉は形容詞。清少納言の『枕草子』は〈をかし〉の文学の代表。対象を知的、批評的に観察し、鋭い感覚で対象をとらえることによって起こる情趣である。
・〈たのし〉は安定した、みちたりた快適の状態で、それを行為に示す自らの態度を言う。
・〈おもしろし〉は対象に対してもつ感情、心に楽しく思う意。
これらの世界を『枕草子』『古今和歌集』『土佐日記』『歌舞伎十八番』の名ぜりふを通して味わった。

受講者からは・言葉の面白さ、大切さ、日本語の世界の学びにひきこまれた。・レジメの内容が詳しく、板書もあり、ジョークのある話法でわかりやすく楽しかった。・宮沢賢治作品の朗読になつかしい昔がよみ返り、日本の言葉のよさを再認識した。などの感想が寄せられました。         (板部 裕子)



   

あだち区民大学塾講座 講座開催報告

「ひらがなの魅力をさぐる」 やまとことば

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