【講座開催日】2023年2月7日、14日、21日  

   2月7・14・21日(火)の3回にわたり、生涯学習センター研修室1において開催された。受講申込者は60名、受講者56名、出席者は第1回52名・第2回54名・第3回50名・合計156名であった。講師はNPO法人シニア大学講師で歴史研究家の榊原金市氏。

                            

 第1回は「神話時代、初代神武天皇、日本武尊 など」である。40代天武天皇は壬申の乱に勝利した大海人皇子が673年に即位し、初めて「天皇」という称号を用いられたといわれている。律令制度に着手し、国史として「古事記」と「日本書紀」の編纂を命じた。編集者はいずれも太安万侶。「古事記」は全3巻で稗田阿礼が712年に編纂した日本最古の書物である。神代から推古天皇までを日本人の話し言葉で記述されている。「日本書紀」は草壁王子ら皇子と文官12人が720年に編纂した全30巻である。中国の史書を参考に、漢文で書かれており中国の皇帝に日本の歴史を認識してもらうのが目的であった。次いで初代の神武から12代景行の皇子の日本武尊まで解説された。

                       

 第2回は「卑弥呼と邪馬台国、仏教伝来、新羅戦争 など」で、13代成務から32代崇峻まで。卑弥呼と邪馬台国についてまず「漢書」記載の「金印」が紹介され、講師から「金印」のレプリカが示され、思ったより小さいとの受講者の反応であった。14代仲哀の神功皇后は卑弥呼に例えられているが,クニの場所・卑弥呼の墓・魏から受領した銅鏡100枚等が発見されておらず、両者の没年も相違がある。「魏志倭人伝」には「邪馬台国」「卑弥呼」の記載があるが、「日本書紀」には記載がない。29代欽明の512年に百済より仏像と経典が伝わる。31代用明の皇太子となる聖徳太子が誕生した。589年曽我馬子は物部守屋を破り仏教擁護派が勝利した。

                       

 第3回は「聖徳太子、大化の改新、天武天皇 など」で33代推古から40代の天武まで。推古の摂政となった聖徳太子について詳しく説明された。太子の呼称は古事記では「上宮」、日本書紀では「厩戸皇子」、法隆寺東院資材帳では「聖徳太子」となっている。現在の中学校は「聖徳太子(厩戸王)」で高校では「厩戸王(聖徳太子)」で文科省の中学と高校の担当部門が異なるからと言われている。太子の業績と言われる冠位十二階・十七条憲法・遣隋使派遣については否定的な見解が示された。35代皇極の645年「乙巳の変」により中大兄皇子が中臣鎌子と協力して、蘇我入鹿を倒し天皇の地位は安定した。翌年「大化の改新」の詔が発布された。38代天智は中大兄皇子であるが、百済の依頼により派兵して新羅と戦うが、白村江において大敗する。天智の弟の大海人皇子は皇太子にするものの、息子の大友皇子が39代弘文に即位しその後争いとなり、大海人皇子が勝利し、弘文は自決する。大海人皇子は40代天武天皇となり、「古事記」「日本書紀」を編纂する。

                                
受講者の言葉。
・古代史に興味があり各種の講座に参加したが、日本書紀は初めてで新しい知識を得て興味が深くなった。
・レジメの読みやすさ、PC画像の明確さ、講師のユーモアに富んだ語りが素晴らしい。中学、高校生の時榊原先生のような歴史の先生がいたら、私も史学科へ進学し日本の古代史を研究していたかも。この講座開催を3年も待っていた人々にとっては至宝の内容だった。
・話が簡明で、説明チャートがよくできている、物事の関連が正確で時代の前後のつながりに不都合がない。古代日本の解説図書になりそうだ。ぜひ実現してほしい。
・有意義な講座です、講師が大学など専門の研究者でなかったので講義内容の充実度が不明でしたが十分なレベルで満足のいくものでした。よく勉強されている。中途半端な学者より内容が充実していた。
・大変客観的に歴史資料に基づいた解説を頂き、共感できる所大でした。
・資料が豊富でわかりやすく素晴らしい講義でした、講師の飽きさせない話し方は見事です。
・興味深く拝聴しました。知識が広がったと思います。古事記も日本書紀も関心がありませんでしたがこれらの対比が説明され楽しかったです。古代史が学べてよかった。続編があればうれしい。
                                                                                                                             (糸井史郎)


   

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日本書紀 編纂1300年 ~真偽を読み解く~

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