【講座開催日】2023年3月4日・11日・25日

   3月4日・11日・25日(各土)の3回にわたり開催されました。講師は大関直人氏(立教大学 兼任講師、歴史研究家 専門:日本中世史)応募者は42名、第1回30名、第2回31名、第3回27名で延べ88名でした。今回の講座では、中世の貴族の日記(古記録)を読みながら当該期の社会を見ていきます。各日記には、当該期の「政治・経済・文化」に関する内容が記されおり、大変興味深いものとなっています。

                       

 第1回・・・中世とはいかなる時代か? 中世の日記とは―日記に中世を読む―
・時代区分では古代・中世・近世・近代となり、古代と近世の間の時代で「中世」の開始時期は12世紀末の鎌倉政権の成立期・後期院政期を始期とし、終末は16世紀後半の室町幕府の滅亡を経た織豊政権である。院政期➩鎌倉時代➩南北朝時代➩室町時代➩戦国時代までの約400年が日本における「中世」と位置付けることができる。
各日記には、当該期の「政治・経済・文化」に関する内容が記されております。

                       

 第2回・・・平安時代後期~鎌倉時代の日記を読む~ 『玉葉』・『吉記』等
・平安末・鎌倉時代初期の公卿であり後鳥羽天皇の摂政・関白であった九条兼実の日記『玉葉』について解説いただきました。兼実16歳の年から55歳の年まで40年間にわたり記されたものであり、平安末期を知る上で大変重要な資料となっている。九条兼実の人物像、九条家について、鎌倉幕府の歴史を編纂した書物『吾妻鏡』などについて詳しい解説がありました。
『吾妻鏡』に見る頼朝、鎌倉時代前期の歴史書『愚管抄』、鎌倉時代前期の公家藤原定家の日記『明月記』から「源頼朝」、「藤原秀衡」、「北条時政」、「後白河院」等の人物評、源氏三代将軍(源頼朝・源頼家・源実朝)の人物像について豊富な史料で解説いただきました。
講義中にYou Tubeにて雅楽の演奏と舞を見ることができました。

                       

 
第3回・・・南北朝~室町時代の日記を読む 『看聞日記』・『親長卿記』等
・『看聞日記』は室町時代の1416年から1448年の33年間に書かれた後祟光院伏見宮貞成親王の日記で、内容は記主の日常生活や実子の後花園天皇践祚に関する朝廷の動き、将軍足利義教の粛清政治の様子、嘉吉の乱など朝幕を中心とする政局の動きを記述した。また芸能に関する記事も豊富である。政治史の史料であるとともに、文化史上においても庶民史料としても貴重な史料である。
・『親長卿記』は室町時代後期の公家甘露寺親長の日記、1470年から1498年の29年間の日次記と数種の別記とからなる。応仁の乱中から乱後に至り、公武の動静から自身を含めた公家の生活ぶりをはじめ戦乱や土一揆の有様まで詳しく、上下賀茂社の争いについても詳述されており、全体に政治・経済・社会の好史料である。

≪受講者のご意見≫
・中世:鎌倉,南北朝,室町時代の朝廷の内実、世相が今あたかも起きているかのような説明で面白かった。
・非常におもしろかったです。講師が講座の内容に情熱をもって取り組まれていることがよく伺えて興味を
   覚えました。また口跡があざやかでとてもわかりやすかった。
・中世の日記から読み取る歴史を改めて興味を持ちました。これまで覚えてきた日本の歴史ももう一度見直
   してみたいと思いました。
・中世については一番判りにくい時代ですが、今回受講して、天皇家、公家、それぞれの関係性を理解した。                                                                                                                              <篠原英也>


   

あだち区民大学塾講座 講座開催報告

中世を読み解く『日記』に見る中世Ⅱ

講座開催報告

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