【講座開催日】2023年4月1日・8日・15日

   講師:柴田 寛 氏 元農林水産省 課長職
令和5年度の最初の講座として4月1日・8日・15日に開催されました。応募者は38名、第1回34名、第2回32名、第3回30名で延べ96名でした。
長期低迷が続く日本経済にもエネルギー不足による価格の高騰、物価上昇、急激な円安等の影響が及んでいる。内外の最新のデータや図表を用いて細部に亘り分かり易く解説いただきました。

                       

第1回・・・急激な円安の背景と影響を考える。
1.昨年来、円安はどの程度、進行したか?
2020年から1ドル110円前後で横ばいであったが、2022年に入り急激な円安となり10月にはピークとなる150円を超えた。直近では130円~135円程度となっている。
2.なぜ急速に円安が進行したか?
今回の円安は、アメリカの「政策金利」による影響が大きく、次いで「経済成長」と「貿易収支」も影響した。昨年度は21兆7285億円の赤字となり1979年以降最大となった。
3.円安はプラス・マイナスどのような影響を及ぼしたか?
「円高は日本経済にマイナスで、円安はプラス」という一面的な見方が有力とされていたが、経済変動は常にプラス面とマイナス面の両面に影響を及ぼすことが再確認された。

                       

第2回・・・我が国の食料の安定供給を考える。
1.我が国の食料自給率の実態は?
食料自給率として、主食の米の大幅減少、肉・乳製品の増加等、食生活の大きな変化により供給熱量(カロリー)自給率は低下傾向にあり、2021年は38%となっている。
2.我が国の食料消費はどのように変化してきたのか?
減少した食料は米、野菜、果実、魚介類の4つ。米はピークの1962年度から2021年度は▲56.5%も激減し、「日本人の主食」としての地位が危うくなっている。
3.日本人が消費する熱量(カロリー)はどのように変化してきたのか?
消費する熱量には供給熱量と消費熱量があり、「供給ベース」と「消費ベース」の大半を加工段階又は消費段階で廃棄された「食品廃棄」とみなされ、徐々に拡大している。
4.農業の生産構造の問題点は何か?
耕地面積・農業就業者の大幅な減少により長期的に低下してきたが、近年横ばいで推移。近年、農業法人や非農家出身の新規就農の増加等農業生産を変革する新たな動きに注目。
5.食料の安定供給に向けて求められていることは何か?
昨年来のウクライナ戦争等のリスクを考慮すると、将来的にも食料の安定供給を維持する取組が必要。その際、食料自給力の向上、安定的な輸入、適切な備蓄が基本である。

                       

第3回・・・世界のエネルギー供給と日本を考える。
1.我が国のエネルギー自給率の実態は?
戦後10数年間、我が国のエネルギー自給率は国産石炭により50%を超えていたが、石炭から安価な石油に変わり、世界的なエネルギー革命により自給率は急速に低下した。原子力の登場で一時期20%に上昇したが、2011年の福島原発事故を経て、現在は10%強。
2.エネルギーの生産・加工・消費の実態は?
エネルギーの生産段階として、主役が石炭から石油に変わり、新たに登場した天然ガス、原子力、水力以外の再生可能エネルギー(太陽光、風力等)のシェアが拡大している。
3.世界のエネルギー需給の実態は?
世界の一次エネルギーの実態は右肩上がりで増加が続く、人口増加や経済発展によるものであるが、日本は15年前から減少傾向に入っており、2020年はピークに比べ2割減少。


                       

受講者のご意見
●円安・食料・エネルギーの問題は身近なものであっても詳しい説明を聞く機会がなかったので大変よく理解できました。表やグラフもあり比較もできてよかったです。
実生活でなかなか経済を学べる機会がないので大変勉強になり、先生のお話はわかりやすく面白いのであっという間に過ぎました。開催日が休日なので働きながら参加できて嬉しいです。
今回初めて日本経済入門講座に参加しました。説明の内容、資料共に大変わかりやすく理解を深めることができました。ぜひ次年度も参加させて頂きたいと思っております。
                                             <篠原英也>


   

あだち区民大学塾講座 講座開催報告

日本経済入門2023 ~円安・食料・エネルギー~

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