【講座開催日】2023年6月4日・11日・18日

   6月4日・11日・18日の日曜日に開催されました。講師は高梨真行氏(宮内庁三の丸尚蔵館主任研究官・足立区在住)応募者は38名、第1回30名、第2回32名、第3回30名で延べ92名でした。今回の古文書講座は三河国の小領主から、織豊政権の大大名へ、そして天下統一を継承して江戸幕府を開き太平の世を築いた徳川家康について、家臣や側近など政権を支えた者達の文書や自筆書状から歴史的な事績を追い、大名そして天下人としての家康の実像に迫ります。

                       

第1回・・・大名徳川家の文書 ~徳川家康朱印状
・徳川家康の生涯についての解説がありました。
≪家康の出自≫家康は三河国の小領主松平氏の出身
≪今川氏帰属時代≫今川義元の人質となり武将へと成長、桶狭間の戦いで今川氏から独立した。
≪織田氏との同盟≫清州同盟により今川氏と対立、徳川改姓、三河の国持大名となる。
≪三河・遠江の大名≫駿河は武田領、遠江は徳川領、三方原・長篠の戦い、三国支配の大大名へ
≪豊臣大名徳川氏≫本能寺の変後の混乱に乗じ武田領を接収、駿河・遠江・三河、甲斐・信濃の五カ国を支配する。秀吉との対立と和睦、小牧・長久手の戦い
≪関東大大名徳川氏≫関八州の支配者となる。関ケ原の戦いにより覇権確立
≪将軍そして大御所・徳川家康≫征夷大将軍に任官し幕府を開く。
・古文書として徳川家康朱印状(印判状)3例が紹介された。
 大名徳川氏の出す安堵・命令・法令・裁定などに関する決定事項を示した文書

                       

第2回・・・家康家臣・側近の文書 ~年寄奉書、代官連署状から老中奉書
・徳川家康の家臣たちの解説がありました。
≪三河統一・三カ国大名・永禄9年頃~≫三備の軍制、旗本・馬廻、先手衆、東三河衆、西三河衆
≪五ヶ国大名・天正10年~≫年寄衆・徳川四天王(酒井忠次、本多忠勝、榊原康政、井伊直政)
≪江戸移封・天正18年~≫家臣への知行割による大名化、三河以来の家臣+家康の一門衆
≪将軍・大御所時代≫本多正信(年寄衆)、伊奈忠次(秀忠の側近)大久保長安(家康の側近)
≪各分野における家康のブレーン≫天海、崇伝(禅宗)、後藤庄三郎(金座)、林羅山(儒学者)
・古文書として徳川氏奉行印判状(朱印状)、徳川氏甲州奉行連署状、徳川氏奉行連署印判状(朽木古文書の内)、徳川氏年寄連署奉書(相良家文書の内)の4例が紹介されました。

                       

第3回・・・家康の自筆書状 ~関ケ原の戦い、家康宛の私信
・古文書における「書状」の評価についての解説がありました。
≪書状の基礎≫手紙の事を指し、私信のスタイルをとりながらも、差出者が公的身分を有する場合
は、公文書に準じる。月日のみで年号は付けない。公文書としての機能を有さない。
≪書状の構造≫懸紙(本紙を包む紙)・本紙(ほんし)・重紙(じゅうし)・礼紙(らいし)
≪自筆と右筆≫大名クラスの武家においては書役(右筆)を抱えている場合が一般的である。
 通常は右筆書、重要な内容や一族、親族などに出す場合は自筆
・古文書として徳川家康書状(2例)、徳川家康自筆書状の3例が紹介されました。

≪受講者のご意見≫
・実際の古文書を「翻刻」「書き下文」「語句・人物」と丁寧でわかりやすく、熱意にあふれ、生き生きした講座で興味深くお話を伺いました。有難うございました。
・時代背景や時代の流れの中で各古文書の持つ意味、意義がよくわかりました。このような取り上げ方で今後も古文書講座を開催してください。
・中世古文書はなかなか学習する機会がないのと、高梨先生の解説がとても詳しく勉強になります。                                         (篠原英也)



   

あだち区民大学塾講座 講座開催報告

中世古文書講座 ~徳川家康関係の文書~

講座開催報告

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