【講座開催日】2024年1月14日・21日

   1月14・21(水)の2回にわたり、生涯学習センター4階講堂において開催された。講師はNPO法人シニア大学講師で歴史研究家の榊原金市氏。申込者は76名、受講者は64名、出席者は第1回61名、第2回56名で累計117名であった。

                       

 第1回は「清少納言『枕草子』 和泉式部『和泉式部日記』」で、まず平安時代に女流文学がなぜ隆盛になったのか、その時代背景が説明された。遣唐使が廃止され、中国の模倣から日本独自の国風文化が誕生した。漢字の男文字に対して、仮名が発明され女文字として知識と教養の高い女性たちが和歌・日記・小説を書き始めた。平安時代の文学作品は21作品あると言われているが、女性は10作品。現代と異なり、恋愛や結婚の制度は非常に緩やかであった。結婚は男性が女性宅を訪問する「通い婚」「妻問婚」で、一夫多妻で男性は複数の女性と結婚が出来、更に恋人がいたといわれている。

次に清少納言と「枕草子」である。名前の由来は父が清平元輔で官職が少納言であったといわれている。貴族は一位から三位までが公卿として重職を務めるが、父親の元輔は五位である。
宮廷貴族は息子や娘に高等教育を授け、娘を天皇や中宮の女房(秘書)として送り込んだ。清少納言は27歳で一条天皇の中宮定子の女房となり、宮廷の様子を書いたのが「枕草子」である。結婚・離婚・恋愛を繰り返し、自由な生き方をした。34歳の時に定子が亡くなり、女房職を解かれ夫藤原棟世の赴任地阿波国で59歳の生涯を終える。

和泉式部は百人一首の歌人である。父は大江雅到で官名は式部丞であり、夫の橘道貞の任地が和泉であった。15歳で父の同僚と結婚するが、皇族の皇子と恋愛に陥り、その熱愛を日記に記したのが「和泉式部日記」である。23歳で皇族との恋愛で離婚し、謹慎中に一条天皇の中宮彰子の女房となる。太政大臣藤原道長は家臣の藤原保昌と和泉式部を結婚させ、共に丹後国へ赴任。50歳で道長が建てた「誠心院」で生涯を終える。和泉式部は結婚・恋愛・離婚・恋愛を繰り返す多感で情熱的な女性であった。

                       

 第2回は「紫式部と『源氏物語』」である。まず前回質問のあった清少納言・和泉式部・紫式部の本名と実際の呼び名であるが、実際の呼び名は「忌名」として嫌われ、父親や夫の官職などが使われたが、実名は不明との事であった。更に10程あると言われる公卿の中から藤原家が勢力を広げてゆく理由が説明された。藤原道隆は娘の定子を一条天皇の中宮として嫁がせるが、道隆亡き後、弟道長も娘の彰子を一条天皇に嫁がせ「一天皇二皇后」とした。道長は娘3人を一条天皇・三条天皇・後一条天皇に嫁がせ、「一家三中宮」として宮中を支配した。
「源氏物語」は54帖からなる世界初の長編小説で光源氏の恋愛物語である。第一部は「少青年期」で誕生から38歳まで。光源氏は桐壺天皇と桐壺更衣の皇子として誕生。16歳で葵の上と結婚するが、桐壺天皇の後妻の藤壺と不倫。22歳で藤壺の姪の紫の上と結婚。第二部は「壮年期」で55歳まで。光源氏は朱雀院上皇から預かった女三宮と熱愛し、紫の上は病死。光源氏の友人柏木が女三宮に横恋慕して薫の君が誕生。光源氏は自らの義母への不倫の罪に後悔し、仏門に入り、やがて死去。第三部は光源氏の没後。薫の宮と匂宮の男性陣と中の宮と浮舟の女性陣との恋愛物語である。

紫式部は幼少時から優秀であり、26歳で46歳の藤原宣孝と結婚。2年後に夫は流行病で病死。この頃に「源氏物語」の執筆を始める。32歳で藤原道長により一条天皇の中宮彰子の女房として宮中に出仕。36歳で一条天皇と彰子が退任し、紫式部も宮中を退く。43歳頃に死去。式部は父の官職で紫は紫の上に由来する。

                       

受講者の言葉
・大河ドラマで興味がわき受講しました
・平安時代の文化がより身近に感じられ、和歌をもう一度勉強したいと思います。
・平安時代の宮廷は、これほどまでに自由な恋愛が奔放であったのが驚きでした。
・源氏物語は現代訳で読んだことはありますが、先生にお話し頂いた内容に思いが到ることはなく、さらりと読んでしまいました。今一度、この講座で教えて頂いたことをふまえ、読んでみようと思いました。
・源氏物語の解釈がちがうように思います。光源氏の恋物語だけでなく、女性の生き方を紫式部が書きたかったのだと思います。これが世界で読まれている理由だと思います。
                                                       (糸井史郎)

あだち区民大学塾講座 講座開催報告

大河「光る君へ」~平安の女流文学から学ぶ~

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