【講座開催日】 平成28年5月8日・15日・22日 (日曜日)

   応募者52名、抽選による受講者40名、延べ86名での講座となりました。講師は歴史研究家で墨田区教育委員会文化財調査委員 法政大学大学院研究員をされている大関直人氏が務めてくださいました。
 まず始めに、近年、絵巻物が学際的な価値をもって研究者の間で受け入れられてことの背景について話されました。それは従来、文字で記された史料(古文書・古記録)を中心に研究が進められてきたが、絵巻物がもつ「絵」という視覚的(ビジュアル)な資料という価値が注目され、利用がされてきているからとのことでした。文字記録からだけではイメージできない「絵」が描かれていることによってより深く知ることができるとの説明に、極めて素直に納得しました。

       


   第1回目は、歴史資料としての「絵巻物」~中世に絵巻物が多く作成された背景を探る~の講義でした。
絵巻物の定義、絵巻物の歴史、平安時代から鎌倉時代にかけての絵巻物、絵巻物の種類と分類、絵巻物の特徴と読み解き方と講義は進みました。学校時代に日本史や美術の教科書に載っていた絵巻物もあり、人間の“業”や“欲”の深さ凄さに改めて思いを致しました。

       


  第2回目は、「絵師草子」~文字と絵から中世を読む~の講義でした。
絵師草紙について、絵師草紙の伝来過程、絵師草紙の特徴、絵巻物に描かれた一通の文書―古文書学の援用―と講義は進みました。絵と文字で表さなければならないことの必要性、そしてその説得力は、当時の人たちもひしひしと感じていたことが伝わってきました。

 第3回目は、「北野天神縁起」~庶民の信仰の世界~の講義でした。
北野天神縁起について、北野天神信仰の展開、北野天神信仰の受容と展開、と講義は進みました。菅原道真を祭神とする京都の北野天満宮の信仰のお話ですが、絵巻物では凄まじい場面が描かれていて人間のねたみ、そねみなどは今も昔も変わらずしようがない生き物だなあとついつい考えてしまいました。第2回目〜「薬膳を美味しく作って、楽しく食べよう〜
の実習はあいにく雨模様の日になりましたが、皆さん出席され、山菜の炊き込みご飯、ニンニクの芽とむきエビの炒め物など4品を皆さんとスタッフも一緒になって楽しくなごやかに調理して、おいしくいただくことができ、好評のうちに終わりました。 

   今回の講座ではたくさんの絵巻物をカラーコピーしてくださり、貴重で大切な財産となりました。先生には感謝申し上げます。3回目の講義なのかで「歴史は、今まではこう語られていましたということに留まっていてはだめで、もう一度研究によって明らかにしていくのが歴史家の使命であると思っています」と話されました。今後ますます歴史の学びは楽しくなると嬉しくなりました。

                                                                                                                                                                     (佐々木善光)


        

平成28年度あだち区民大学塾開催報告

中世「絵巻物」を読み解く

好評のうちに終了しました

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