【講座開催日】2022年4月2日・9日・30日

 講師 柴田 寛 氏は、元農林水産省 課長職
令和4年度の最初の講座として4月2日・9日・30日に開催されました。応募者は34名、第1 回33名、第2回30名、第3回29名で延べ92名でした。
本講座の開始前に急遽「ロシアのウクライナ侵攻を考える」について資料が追加され、①ロシアはなぜウクライナに侵攻したのか?②ロシア・ウクライナの経済規模や日本との関係は?についての解説がありました。
                            

第1回・・・バブル経済崩壊後の日本経済を振り返る。
① まず、経済成長の指標となる GDP (国内総生産)についての解説がありました。
1973年~ 2009 年の 37 年間、 GDP はアメリカに続き世界第2位であったが、 2010 年に中国に抜かれ、2020 年には中国の3分の1となった。日本の国際的地位は大きく低下した。
〇国際競争力ランキング:日本は 1990 年頃、世界第1位であったが、バブル崩壊後 1997 年に 1 7位に、2009 年のリーマン・ショック等があり、 2021 年は 31 位に低迷した。
②国内経済を見ても、「デフレ・マインド」が国民に根強く残る中、給与と消費者物価が20 年以上微減または横ばいが続いている。生活保護を受給する世帯も高止まりで推 移している。
               

第2回・・・経済成長が長期低迷に陥った背景を考える。
①日本におけるバブル経済とは、不動産価格と株価だけが短期間に急上昇した後に、急下落した経済現象だった。
②バブル発生の直接的要因は、公定歩合、土地神話、前川レポートの3つになるが、遡るとアメリカの貿易赤字の縮減を狙いとする 1985 年の多国間通貨調整(プラザ合意)に至る。
〇公定歩合: 1985 年頃までは 6 %前後で非常に高い水準であった。 1987 88 年には史上最低の2.5%になり、銀行貸出金利も大きく低下、供給側の銀行も金利収入の増加につながった。
〇土地神話:戦後、「地価は下がることはない」という「土地神話」が信じられていた。銀行から
低利で借り入れされた膨大なマネーは不動産(土地、住宅)に投資された。
〇前川レポート( 1986 年 4 月前川元日銀総裁がまとめた報告書):対日貿易赤字の縮減を求めるアメリカの要請に対応し、内需拡大、市場開放、規制緩和、金融自由化等を提言し、バブル経済発生の要因となった。
                 

第3回・・・今後の経済成長の可能性を考える。
①日本経済の 実力を示すのは「潜在成長率」であり、経済成長の3要素「資本・労働・生産性」により試算される。 2010 年以降は年率 1 %未満が続き、現在は 0.4 %の低水準、アメリカは 1.9 %、韓国2 %、中国 5 %と大きく差がついている。
②日本経済が直面する主な課題は、第1 に、 20 年以上も低迷が続く賃金の引上げ第
2 に、消費者・企業に擦り込まれたデフレ・マインドの払拭。第3 に、低迷が続く企業の成長力(技術革新、国際競争力、売上高等)の回復
〇家計が所有する金融資産(現金・預金・株・保険等)は 2021 年には GDP の 4 倍近い 1,968 兆円という巨額のマネーが国内に存在している。これらの有効活用が望まれる。
※ 毎回、講義中に質問を設け、受講者を飽きさせず興味を引く工夫もされていました。

受講者の方からも全体を通して 豊富な最新データ、グラフ、表を準備いただき、分かり易く解説があり、よく理解できたとの 好 意見が多く、非常に評価の高い講座でした。     <篠原英也>


   

あだち区民大学塾講座 講座開催報告

日本経済入門       2022 経済成長を 考える

好評のうちに終了しました

講座開催報告

講座チラシもご覧下さい←クリック

撮影現場↑