
【講座開催日】2025年12月2日・9日・23日
この講座は12月2日・9日・23日(火)の3回にわたり、足立区生涯学習センター研修室1にて開催された。募集定員50名のところ応募者は57名、出席は第1回51名・第2回49名、第3回32名で、延べ132名、であった。
講師は小説家・写真家・登山家の穂高健一氏、令和4年度「幕末の足立 桜田門外の変・徳川埋蔵金・新撰組」及び令和5年度「篤姫と和宮 大奥から見た幕末」についで3回目の講座となった。先生の作品は純文学から歴史小説まで幅広いが、足立区民大学塾では幕末が多く最新作では近現代の歴史小説に取り組んでいる。

1. ペリー来航の目的は学術調査だった。
1853年に米国のペリー提督が江戸湾の浦賀沖にやってきた。艦隊には博物博士、植物採集の担当者が乗船していた。かれの任務は米大統領国書(開国・通商・捕鯨船の確保)を将軍に手交する。太平洋航路の中継地点の確保である。もう一つの任務として鎖国日本を学術開国させることであった。
細長い列島に約7,000の島がある。海流・気候は変化に富み新種の動植物の宝庫である。
これまでオランダが博物学を含めた学術を独占していた。ぺリー提督は世界にむけて日本学術開国させることであった。多数の海軍士官、下士官らも学術調査を担った。これらが欧州の学術機関に送られた。世界の学者を乗せた船が来航できるように、江戸湾で深調査、潮流・暗礁の調査による精密な海図を作成した。それをアメリカ独占とはせず、世界に発表したことで日本近海が世界航路に組み込まれた。軍事・通商で決定的な意味を持った。
阿部正弘は、ペリー提督が即時の武力行使を意図していないと見極めた。その上、極めて重要な科学的な任務を課せられていると知り、平和裏に鎖国から開国へと決断した。

2. 大政奉還 慶喜と討幕勢力の思惑
安政五(1858)年に「安政の五カ国条約」の締結の後、輸出入が年々急上昇した。恩恵の薄い列藩などから、幕府の貿易独占だと批判が上がるとともに、天皇の勅許を得ずに締結したといい、尊王攘夷運動がしだいに過激になった。言論弾圧から安政の大獄が起きた。
桜田門外の変で、大老の井伊直弼が暗殺されると、幕府の基盤が揺れはじめた。和宮降嫁の・幕政改革で、武力対決以外の選択肢がいっとき存在した。ここから薩英戦争、下関戦争、禁門の変、第一次、第二次の長州戦争が起こる。さらに徳川家茂将軍の死去、孝明天皇の急死による政局が極度に不安定になった。
慶応三(1867)年十五代将軍の慶喜が政権を朝廷に返上した。国家の主権は朝廷にあって、制度・法律の一切は京都の議政所(国会)からでるべきだとした。上院(公家・大名)と下院(選挙で選出された議員)からなる上下二院制の議会とする。ところが、制度化の前に慶応三年の十二月九日に小御所会議のクーデター(王政復古の大号令)で、実現はしなかった。

3. 錦の御旗と明治新政府
鳥羽伏見の戦いから戊辰戦争へと事態が移っていく。薩摩側による「大坂城から、慶喜が逃げた」というプロパガンダと、「錦の御旗」という正統性の演出があり、西の諸藩が朝廷方の東征軍についた。慶喜や会津は朝敵になり、やがて勝海舟と西郷隆盛による江戸城の無血開城となった。だが、戊辰戦争は上野戦争から、奥越列藩同盟との戦いになった。戊辰戦争が終わった九月には明治天皇が正式に誕生した。明治維新は民衆革命でなく、下級武士を中心とした権力移行(政変)による新政府の誕生であった。
富国強兵が政策の柱だった。経済発展と軍事力強化を両立であった。初期の施策は、「軍事国家化」であり、藩兵(武士)を解体し、軍事力を中央に集中させることで、①廃藩置県(1871)で中央集権国家が成立した。②地租改正(1873)で、安定した国家財政の確保、③ 姓名の強制(1870〜)(戸籍=兵籍)。④ 学制(1872)識字率向上で、近代軍隊の兵士を育成する。⑤徴兵令(1873)武士の特権を解体し国民皆兵とする。
徳川幕府はすでに「近代化の方向性」をもっていたが、明治政府はより軍事化を加速し、「国民国家」へとスケールアップした。つまり、「国家の軍事力」を高めたのである。


≪受講者の意見≫
・歴史の表に出てこない話が聞けて興味深いです。
・「世界史の中で日本を見る」というお話は大変参考になりました。近視眼的な物の見方の危うさが分かりました。
・坂本竜馬の船中八策の事実を知ることができてよかった。
・日米通商条約の話が意外だった。司馬史観の反論が面白かった。
・今まで自分の頭の中に入っていた事と違っていたり、え‼ そうだったのと言う所が多々あって知識の浅さが、新めて知った事が多かった。
・幕末に対する視点が違って色々な説を体現できた。竜馬や阿部正弘については180°見方が変わりました。
(糸井史郎)
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